心の隙間~心の隙間~ オレは過ちを犯した。 恋という重大な罪だ。 いや、恋自体は何の罪も無い。 オレの心にも、ましてや彼女にも何の罪は無い。 しかし、それは重大な罪だ。 それは何なのかだって? オレは人間で、彼女がエルフだと言う事さ。 種族の違いで結婚とか言う話は良く耳にしていたが、実際は大問題なのだ。 種族の血が混ざり合うから? 新たな種族が生まれるから? 周りから批判の目で見られるから? そんな物は問題ではないのだ。 そう、それらは小さすぎる問題だ。 では、一番の問題は何か、て? だから言っているだろ。 種族の問題だ。 オレは人間で、彼女はエルフ。 寿命が十倍以上に差があるんだ。 オレの一生全てを使ったとしても、彼女の一時でしかない。 悲しいと思わないか? どんなに愛し合おうと、どんなに一緒にいたいと願っても、どんなに長生きをしようとも。 オレは彼女のほんの一時しか共に居る事ができないんだ。 あと少しすれば身体は衰え、醜くなっていく。 しかも、すでにオレは一生の4分の1は消費してしまった。 噂によれば、エルフは生涯に1人しか心から愛する事が出来ないと言う。 それが本当かどうかは、分からない。 でも、もしもその噂が本当なら、彼女はオレしか愛せないのだろうか。 もちろん、オレは一生をかけて彼女を愛し続ける事を誓おう。 だが……、オレが彼女の傍に居る事の出来る時間はあまりにも儚い。 しかも、人間なんて意外と簡単に逝ってしまう。 それが明日かもしれない。明後日かもしれない。いや、5分後かもしれない。 短い人生を余計に短くするだけだ。 残された彼女はただ悲しむばかり。 どんなに楽しい日々を送ろうとも、どんなに嬉しい日々を送ろうとも。 残された彼女は悲しむだけだ。 こんな事ならオレは彼女と出会わなければよかった。 出会わなければ良かったと思っている。 お前はどうだ? 私は彼を辛い目に合わせてしまった。 種族の壁を越え、愛し合ってしまった。 みんなは言う。 『人間なんて我らエルフの一時しか生きる事が出来ない』 『人間が死ねば、残されるのはお前だけだぞ』 『今は幸せでも、残る物は悲しみだけだぞ』 みんなの言うとおりだと思う。 彼が死んだら、私には大きな悲しみだけが待っている。 でも、その悲しみは私だけ。 私だけが辛い目に会うのならなんの問題も無い。 どんなに辛かろうと、どんなに寂しかろうと、私は耐えてみせる。 だって、あなたに会えた事が私の全ての幸せなのだから。 もしも、私はあなたと出会う事なかったら、 私は今ここに居ないでしょう。 この幸せは無かったでしょう。 この思いも無かったでしょう。 この喜びも無かったでしょう。 あなたはたくさんの気持ち(もの)を私にくれました。 それは、嬉しい事です。 でも、あなたは悲しみを持ち始めた。 残された私の悲しみを思ってくれているのでしょ? 私の悲しみを心配してくれているのでしょ? 私なら大丈夫。 あなたがくれた気持ちは、何の偽りもない本当の気持ち。 私の小さな胸の内では溢れてしまうほど大きくて暖かい気持ち。 たとえ、あなたが死んだとしても、私の心にあなたは生き続けてくれる。 だから、心配しないで。 オレはなんて馬鹿なのだろう。 オレも彼女から多くの物をもらったのだ。 この心の温かさがその証明さ。 他の者に見せることが出来なくて残念だ。 だったら皆にも見えるようにすれば良い事ですよ。 どうやって? 共に生きましょう。 生きる? そう、共に生きれば誰もがその心を見る事が出来ます。 そうだな。共に生き、共に笑い、共に幸せを感じていこう。 そうです。共に喜び、共に過し、たまに喧嘩もするのもいいでしょうね。 ああ、喧嘩の理由はどうでもいい事なんだけど、必死に言い合ってしまう。 はい。2人でバカ夫婦になりましょう。 ………。 どうかしましたか? いあ、バカ夫婦にはなりたくないなぁ。 まぁ。 ははは、そういじけるなって。でも、 ……でも? オレを愛してくれてありがとう 私もです 恋愛話オンリーのデッスンです。 今回の話は純情物語! 人間とエルフの恋物語を書いてみました。 いや、物語と言うよりも、これは詩だね。 何となく思いついてしまったので、書いてみました。 創作時間約2時間。 書きながら思ったよ。 「オレもこんな純情恋愛してみてええええええええええ!」 以上、恋愛配達人デッスンからでした。 7月24日書 |